支出を減らす

【シミュレーション2021版】住宅ローン控除と繰り上げ返済、どちらを優先すべき?

こんにちわ!まーこ(@maakomoneydiary)です。

今回のテーマは、「住宅ローン」です。

住宅ローンを組んでいるけど、住宅ローン控除や繰り上げ返済の仕組みがよくわからない
住宅ローン控除の適用期間中に繰り上げ返済したら、減税の効果はどうなるの?

という方々に向けて記事を作成しました。

まーこ
まーこ
実際にシミュレーションをしながら分かりやすく説明していきます!最後までご覧いただけたら嬉しいです!

1 住宅ローン控除と繰り上げ返済

“人生最大の買い物”と言われるマイホーム。
2.000万円や3.000万円以上といった住宅あるいはマンションを購入する大半の方々は、その場で現金払いというわけにはいかず、「住宅ローン」を組むことになります。
住宅ローンは、銀行などの金融機関、固定や変動金利などによって種類は多くありますが、人生最大の数千万単位となるお買い物なので、お得に住宅ローンを組みたいですね。

例えば、借入金額が3.000万円で借入期間が35年の住宅ローンを組むとします。
その際に、金利0.5%と金利1.0%の住宅ローンでは、たった0.5%という差なのですが、
返済総額を計算すると、
●0.5%=約3557万円
●1.0%=約3271万円
という感じで、約286万円も差がつくことになります。

こうした中で、住宅ローン控除や繰り上げ返済をうまく組み合わせて返済総額をおさえていきたいところです。

(1)住宅ローン控除と繰り上げ返済

「住宅ローン控除」とは、正式名称を「住宅借入金等特別控除」といいます。
マイホームを取得して10年間、年末時点の住宅ローン残高の1%が所得税及び住民税から控除を受けられる制度です。
1年で最大40万円、10年間で最大400万円という極めて大きい減税効果があります。

 例えば、あなたが住宅ローンを組んでいたとします。
今年の年末時に、住宅ローンの残高が3.000万円であった場合、その1%である30万円の税金の支払いが免除されます。
その後、毎月返済していき、次の年末の時点で住宅ローン残高が2.850万円になりました。
その際に、また1%である28万5千円の税金の支払いが免除されます。
このように、1年目で30万円、2年目で28万5千円…という形で、ローン残高の1%の免除が10年続くというのが「住宅ローン控除」です。
(*住宅ローンの残高については、10月あるいは11月にローンを組んでいる金融機関から「年末残高等証明書」が郵送されてきます)

住宅ローン控除は、一般に「税額控除」と呼ばれています。
配偶者控除や医療費控除などといった間接的に税金を控除するものではなく、所得税の金額を直接的に差し引けるという優れた減税効果があります。

私(私の家族)の場合も5年前に3.000万円、35年間の住宅ローンを組みました。
今ちょうど住宅ローン控除が適用されている期間なのですが、10年間の控除を合わせると、233万7千円という大きな減税効果となります。
*詳しくは、本ブログ「最強の減税パワー・住宅ローン控除をシミュレーション」をご覧いただければと思います。

その一方で、「繰り上げ返済」です。
繰り上げ返済とは、毎月の支払額とは別にまとまった金額を返済する方法のことです。
この繰り上げ返済は、返済期間を短縮できる「期間返済型」と毎月の返済額を少なくする「返済額軽減型」という2種類あります。
それぞれメリットがあるのですが、「期間返済型」の方が結果的に返済総額を減らすことができるため、「期間返済型」を選択した方が無難です。
住宅ローンは、借入金額に応じて金利分の利息がついてきます。
繰り上げ返済をすることで借入金額を減らしていけば、その分の利息を減らすことができるため、結果的に返済総額をおさえることができるのです。

(2)住宅ローン控除と繰り上げ返済。論点は?

「住宅ローン控除」の効果は、住宅ローン残高が多ければ多いほど高くなります(残高×1%)。
これに対して「繰り上げ返済」は、いち早く住宅ローン残高を減らしていくものです。
なので、繰り上げ返済をすることによって住宅ローン控除の効果を最大限受けることができない、という両者の対立関係が浮かび上がってきます。

住宅ローン控除 住宅ローン残高が多ければ多いほど減税効果が大きい
繰り上げ返済 住宅ローン残高をいち早く減らすもの

「住宅ローン控除の効果を最大限受けるべきなのか、繰り上げ返済を優先すべきか」について、実際にシミュレーションをしたので見ていきましょう。

2 シミュレーションした結果

それでは実際に、住宅ローンを組んでから、
①1年後に繰り上げ返済するパターン

②5年後に繰り上げ返済するパターン
③11年後に繰り上げ返済するパターン
という状況をシミュレーションしていきます。

住宅ローン控除を考えず、とにかく早めに繰り上げ返済すると、
住宅ローン控除の効果を最大限受けた直後に繰り上げ返済する
そして①と③の中間であるという3パターンを見ていきましょう。

そして、次のような条件でシミュレーションをしました。

①借入金額=3.000万円
②借入期間=35年
③金利0.65%(変動しないと想定)
④元利均等返済
⑤繰り上げ返済時の事務手数料などは計算しない
⑥令和元年9月30日以前に購入して入居
⑦繰り上げ返済は期間短縮型
⑧繰り上げ返済する額=200万円

*令和元年10月1日以降に住宅を購入して入居した人は、住宅ローン控除が10年ではなく13年間適用されます。今回は10年で行います。
*シミュレーションの計算は「@ローン計算」を使用させていただきました。

まずはじめに35年間、繰り上げ返済を一切しないパターンだと、次のとおりになります。
     ●返済総額:33.549.675円
     ●利息:3.549.675円(約355万円)
     ●住宅ローン控除で減税された金額:2.570.000円(約257万円)
     ●実質的な負担額:30.979.675円(約3098万円)

3.000万円の住宅ローンを35年払い続けると、利息を約355万円払うことになりますが、最初の10年間の住宅ローン控除で257万円の税金の支払いが免除されます。
そのため、返済額である3.000万円+<355万円-257万円>=約3098万円というのが、実質的に負担する金額となります。

①1年後に繰り上げ返済するパターン

住宅ローンを組んで1年後に200万円を繰り上げ返済します。
1年後からローン残高を少し減らすことができますが、その分2年目以降の住宅ローン残高が少し減ってしまうため、住宅ローン控除の効果がどのくらい減ってしまうか気になるところです。

返済総額 33.076.704円
利息 3.076.704円(約308万円)
住宅ローン控除で
減税された金額
2.390.700円(約239万円)
実質的な負担額 30.686.004円(約3069万円)

返済期間は35年から32年6か月に短縮され、繰り上げ返済をしないパターンの負担額(約3098万円)と比較して、約29万円を軽減させることができました。

②5年後に繰り上げ返済するパターン

住宅ローンを組んで5年後に200万円を繰り上げ返済します。
住宅ローン控除の効果を受けつつも、繰り上げ返済によって利息分を減らしていくというⅠとⅡの中間のようなパターンです。

返済総額 33.139.633円
利息 3.139.633円(約314万円)
住宅ローン控除で
減税された金額
2.474.700円(約247万円)
実質的な負担額 30.664.933円(約3066万円)

返済期間は35年から32年6か月に短縮され、繰り上げ返済をしないパターンの負担額(約3098万円)と比較して、約32万円を軽減させることができました。

③11年後に繰り上げ返済するパターン

住宅ローン控除の適用期間である10年を経た直後に繰り上げ返済を行います。
住宅ローン控除の効果を最大限に受けた上で、繰り上げ返済していくパターンです。

返済総額 33.216.075円
利息 3.216.075円(約322万円)
住宅ローン控除で
減税された金額
2.570.000円(257万円)
実質的な負担額 30.646.075円(約3065万円)

返済期間は35年から32年7か月に短縮され、繰り上げ返済をしないパターンの負担額(約3098万円)と比較して、約33万円を軽減させることができました。

3 結果+まーこ的見解

(1)結果

結果を次のようにまとめます。

実質的な負担額(返済総額-住宅ローン減税額)
繰り上げ返済しない 30.979.675円(約3098万円)
1年後に繰り上げ返済 30.686.004円(約3069万円)
5年後に繰り上げ返済 30.664.933円(約3066万円)
11年後に繰り上げ返済 30.646.075円(約3065万円)

結果として、Ⅲの住宅ローン控除の適用期間が終わった直後の11年後に繰り上げ返済したパターンが、住宅ローン控除の効果を最大限受けて返済総額を減らせるため、実質的な負担額が一番低いということがわかりました。

(2)大して変わらない?

実際にシミュレーションをしてみて、正直なところ「大して変わらない」と思いながら記事を作成していました。
もう少し借入金額や繰り上げ返済する金額を多くして変化を大きくしようかと思ったのですが、借入金額が4.000万円や5.000万円、繰り上げ返済を500万円や1.000万円だと一般のサラリーマンさんや公務員さんにとって現実的ではないと判断して、最も平均的と思われる3.000万円・200万円の繰り上げ返済で続行しました。

結果として①から③で、3万円前後しか差が出ませんでした。
さらに言えば、繰り上げ返済をまったくしないパターンと比較しても30数万円の差しか出ませんでした。

(3)まーこ的見解

いま、銀行の普通預金は0.001~0.002%という超低金利で、口座に預けているだけではお金を増やすことはできません。
その一方で、この超低金利は、お金を借りる側、住宅ローンを組む側にとってはとても有利に働いています。
住宅ローンの金利で一番低いものは0.4~0.5%など非常にお得なものになっています。
住宅ローンの低金利と、住宅ローン控除の大きな減税効果が加味されて、繰り上げ返済の効果は小さいと言えるのです。
なので、今回シミュレーションした繰り上げ返済額である200万円を、繰り上げ返済せずに“投資”へ回していき、30~35年先の住宅ローンの完済を早めるよりも、10~20年先の子どもの教育費や車の買い替え代金といった資金に充当していくべきだと考えます。
投資といっても株式投資やFXではなく、積立NISAやiDeCo、積立投資信託です。
積立NISAなどは、「長期・分散・積立」という投資の安全原則に基づきリスクを限りなく排除できますし、3~5%のリターンが期待できます。

住宅ローンの毎月の支払金と毎月の積立金が同額ではありませんが、
●住宅ローンの金利0.4~0.6%<積立投信の利回り3~5%という認識で、
住宅ローンの利息分よりも積立の利回り分の方が大きくなると見込んで、
「超低金利と住宅ローン控除があることから繰り上げ返済の効果は小さいため、その分を投資に回して教育資金などに充てる」
というのが私自身の答えになります。

その一方で、繰り上げ返済は、200万円を掛け金として33万円お得になる100%確実な投資(3098万円-3065万円、③の場合)と表現することもできます。
積立投資のリスクは限りなく低いものの、絶対に安全というわけではありません。
ですが、繰り上げ返済は確実にローン残高を減らせて利息を減らせる100%確実な投資とも言えるのです。
私自身は「繰り上げ返済ではなく積立投資に回す」という答えですが、繰り上げ返済で確実に利息分を減らし、まずは一安心したいという考えも正しいと思います。
個人の考え方や家族の資産状況に合わせて対応していけば良いのかと思います。

まーこ
まーこ
最後まで読んでいただきありがとうございました!資産形成やお金・経済に関する本など有益な情報を今後も発信していきますので、どうぞよろしくお願いします。ブログ更新は(@maakomoneydiary)で発信しています。ぜひフォローお願いします。