iDeCoの制度改正。
①会社員・公務員の加入年齢が65歳未満に延長(2022年5月から)
②受け取れる期間が「60~75歳」に拡大(2022年4月から)
③企業型DC(確定拠出年金)加入者のiDeCo加入要件の緩和(2022年10月から)
詳細な注意点を説明していきます。
こんにちわ!まーこ(@maakomoneydiary)です。
最初に結論をお伝えいたします。
●iDeCo(個人型確定拠出年金)は、2022年から次の3点が変わります。
①会社員・公務員の加入年齢が65歳未満に延長(2022年5月から)
②受け取れる期間が「60~75歳」に拡大(2022年4月から)
③企業型DC(確定拠出年金)加入者のiDeCo加入要件の緩和(2022年10月から)
●全体的な傾向として、長寿化と65歳以上の就業率の増加傾向を踏まえて、「加入しやすくなった」「お得感が増した」という印象。
●「将来に向けた積立+いま現在の節税」効果があるiDeCo。まだ始めていない方は、ぜひとも加入を検討しましょう。
安心な老後をむかえるため「iDeCo」をもっとよく知りたい方は、本ブログの関連記事をご参照ください。具体例を盛り込みながらわかりやすくまとめています。
●本ブログの「iDeCoの全てがわかる」シリーズについて
1.「【積立+節税効果】iDeCoとは?メリットを確認して今すぐはじめましょう」
2.「【初心者向け】まずはこれ!おすすめ資産形成4つ」
3.「【併用が正解】積立NISAとiDeCo、やるならどっち?20年後をシミュレーション」
4.「【iDeCo】どんな商品を選べばいいの?年代やタイプ別おすすめをチェック」
5.「【1年やるとこうなる】つみたてNISAとiDeCoの実績を公開します」
6.「iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度改正はいつから?3つのポイントを説明」
7.「【iDeCo】こんなときどうする?中断、転職、暴落の時の対応」
8.「【どっちがお得】iDeCoの受け取りは一括or分割?退職所得控除との関係も」
9.「【自営業者向け】国民年金基金とは?iDeCo(個人型確定拠出年金)との違いも」
1 加入年齢が60歳未満→65歳未満に
(会社員・公務員)
iDeCoの現行制度では、加入可能な年齢は60歳までとされていました(20歳から60歳まで)。
しかし制度改正後の2022年5月からは、会社員と公務員に限り65歳未満まで加入でき、掛け金の積み立てを継続することができます(公的年金に加入していることが条件となります)。
すでにiDeCoに加入している方なら、さらに5年間延長して積み立てることができ、「長期・積立・分散」に則した形でますます安定的な投資が可能となります。
積み立てを延長する5年間は、もちろん節税効果も継続できます。
また、これまで50歳代は、全体的な風潮として「(60歳までの)退職が近いから、始めるメリットがない」と言われていました(*この点について、個人的には、50歳の方は収入が多いだけに節税効果も多く期待できるため、メリットは十分あると考えます)。
ですが、50歳から始める方なら最大15年間、50歳後半でも5年以上の期間を積み立てることができ、始めるメリットがさらに広がったと言えます。
現行制度 | 制度改正後(2022年5月~) | |
自営業者・フリーランス | 20歳~60歳 | 20歳~60歳 |
会社員 | 20歳~60歳 | 20歳~65歳 |
公務員 | 20歳~60歳 | 20歳~65歳 |
専業主婦 | 20歳~60歳 | 20歳~60歳 |
なお、この加入可能な年齢を延長したことについては、「人生100年時代」と言われるほどに長寿化が進んでいるほか、65歳以上の就業率が増加傾向にある状況に対応するといった背景があります。
2 受け取れる期間が「60~75歳」に拡大
→空白期間がなくなる
iDeCoの受け取りは、始めてから10年以上経過していれば60歳から受け取ることができます。
一方で、50歳以上の年齢でiDeCoを始めた場合、60歳まで10年以上経過していないため、受け取れる年齢が次のように少しずつ繰り下がります(遅れます)。
加入時期 | 現行制度 受給開始時期 |
制度改正後(2022年4月~) 受給開始時期 |
~50歳まで加入 (60歳までの加入期間10年以上) |
60歳から70歳の間の好きな時期 に受給開始できます |
60歳から75歳の間の好きな時期に受給開始できます |
50歳~52歳 (60歳までの加入期間8年以上) |
61歳~70歳の間に受給開始 | 61歳~75歳の間に受給開始 |
52歳~54歳 (60歳までの加入期間6年以上) |
62歳~70歳の間に受給開始 | 62歳~75歳の間に受給開始 |
54歳~56歳 (60歳までの加入期間4年以上) |
63歳~70歳の間に受給開始 | 63歳~75歳の間に受給開始 |
56歳~58歳 (60歳までの加入期間2年以上) |
64歳~70歳の間に受給開始 | 64歳~75歳の間に受給開始 |
58歳~60歳 (60歳での加入期間1か月以上) |
65歳~70歳の間に受給開始 | 65歳~75歳の間に受給開始 |
60歳~65歳で加入 | 60歳以上は加入できません | 加入日から5年を経過した日以降に受給開始 |
空白期間がゼロに 50歳代のメリット広がる
例えば、会社員の人が55歳でiDeCoを始めた場合。
現行制度は加入可能な年齢が60歳までとされ、受給開始が63歳からとなります(上表中央付近の下線部を参照)。
つまり、60歳まで掛け金を積み立てた後、積立額を受け取れる63歳までは積み立てをすることができません。
60歳~63歳までの間、①積立できない=所得控除できない(節税効果を受けられない)、②口座内に積立残高があるため口座管理手数料を負担しなければならない、という「空白期間」が生じてしまいます。
ですが制度改正後は、65歳まで積み立てることが可能となるため、こうした「空白期間」が発生せずに所得控除も受けることができ、50歳代の方々がiDeCoを始めるメリットはますます広がります。
加入時期(具体例) | 現行制度 | 制度改正後(2022年4月~) |
55歳で加入 | 60歳で積立終了 63歳から受け取り開始 =60~63歳が空白期間 (積立できず所得控除なし、手数料だけ発生) |
65歳まで積み立てることができ、空白期間は発生せず。 |
57歳で加入 | 60歳で積立終了 64歳から受け取り開始 =60~64歳が空白期間 (積立できず所得控除なし、手数料だけ発生) |
65歳まで積み立てることができ、空白期間は発生せず。 |
3 企業型DC(確定拠出年金)加入者のiDeCo加入条件の緩和
現行制度では、企業型DCの加入者の大半は、所定の条件があるためiDeCoに加入することができない状況でした。
ですが、制度改正後の2022年10月からは、加入条件が緩和され、多くの人が企業型DCとiDeCoの併用が可能となります。
最後にとりまとめです。
●iDeCo(個人型確定拠出年金)は、2022年から次の3点が変わります。
①会社員・公務員の加入年齢が65歳未満に延長(2022年5月から)
②受け取れる期間が「60~75歳」に拡大(2022年4月から)
積立から受給開始時期までの空白期間が発生せず、50歳代の方々はますます加入しやすい環境に。
③企業型DC(確定拠出年金)加入者のiDeCo加入要件の緩和(2022年10月から)
●全体的な傾向として「加入しやすくなった」「お得感が増した」印象。
●「将来に向けた積立+いま現在の節税」効果があるiDeCo。まだ始めていない方は、ぜひとも加入を検討しましょう。
iDeCoは、2017年、専業主婦や公務員が加入対象となるなどの制度改正が行われ、これ以降で加入者が約3倍に急増しました(2017年‐約50万人、2020年‐約150万人)。
さらに今回の制度改正で、加入年齢が延長されるなど、加入しやくなったと言えます。
今後も、社会情勢などを反映する形で制度改正が行われていく見込みとなりますので、注目していきたいですね。
iDeCoは、将来に向けた積立だけではなく、積み立てている間は節税効果がある一石二鳥的でお得な制度です。
iDeCoの詳しい内容については、本ブログをご覧いただければ嬉しいです。
●iDeCoについて
「iDeCoとは?メリットとデメリットをわかりやすく」
「【1年やるとこうなる】つみたてNISAとiDeCoの実績を公開します」
「【iDeCo】どんな商品を選べばいいの?年代やタイプ別おすすめをチェック」
●積立NISAとiDeCoの併用
「【併用が正解】積立NISAとiDeCo、やるならどっち?20年後をシミュレーション」
「【初心者向け】まずはこれ!おすすめ資産形成4つ」
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