年金

【厚生年金の家族手当】忘れずに申請したい加給年金とは?条件や支給額を確認。

加給年金とは、厚生年金から支給される家族手当のようなもので、年間約39万円が支給されます。支給の要件は、①会社員・公務員で20年以上勤務、②65歳未満の配偶者と高校生以下の子供がいるという2つ。
要件に合致していても「ねんきん定期便」に記載されず、申請しないともらえないため注意が必要です。

 

 

こんにちわ!FPまーこ(@maakomoneydiary)です。

 

今回の記事のテーマは「加給年金」です。

加給年金っていう名前の年金、初めて聞きました
誰がどのくらい受給できるんですか?

 

まーこ
まーこ
加給年金とは、厚生年金にプラスされる家族手当のようなイメージです。申請しないともらえないため、注意が必要です。要件や支給額などを確認していきましょう!

 

はじめに結論をお伝えいたします。

結論

●加給年金とは、厚生年金から支給される家族手当で、年間約39万円が支給。
●①会社員・公務員で20年以上勤務、②65歳未満の配偶者と高校生以下の子供がいることが要件
●要件に合致していても「ねんきん定期便」に記載されず、申請しないともらえないため注意が必要
●年金を繰り下げ受給した場合、加給年金は繰り下げ受給した年から支給される

 

 

1 加給年金とは?

加給年金とは、厚生年金から支給される家族手当のイメージです。
長く会社員・公務員で勤務してきた人が、65歳の年金をもらう時に配偶者や子どもがいた場合に支給される年金です。

①2つの要件

この加給年金が支給される人には、2つの要件があります。

 加給年金の要件
①厚生年金の加入期間が20年以上あること
(=20年以上、会社員・公務員で勤務)
②その人によって、生計を維持されている65歳未満の配偶者または18歳到達年度の子(もしくは20歳未満で障害は等級1級か2級の未婚の子)がいること。
(=年下の奥さんか高校生以下の子がいる)
(=お子さまが障害をお持ちなら20歳までOK)

個人事業主や自営業の方々(厚生年金に加入していない人)や年上の奥さんの場合は、加給年金は支給されません。
また、ご家族を養うという趣旨であるため、奥さんの所得が850万円以上、または共働きで奥さん自身が20年以上厚生年金に加入していたら支給されません。

加給年金の対象外
●夫が個人事業主や自営業の人
●年上の奥さん
●年下の奥さんでも所得が850万円以上
●年下の奥さんでも厚生年金に20年以上加入している

 

②いつから?いくら支給される?

夫が65歳となり、老齢基礎年金・老齢厚生年金を受け取ると同時に受け取ることができます。
そして奥さんが65歳になると、奥さん自身の老齢基礎年金が開始されるため、支給は停止されます(下図のようなイメージ)。

 

加給年金の支給額は、年間「390.900円」です(令和2年度のもの)。
月に換算すると、3万円ちょっとですから、かなり大きいですね。

2 注意すべき点

申請しないともらえない
→もらい忘れ注意!

加給年金は、毎年送られてくる「ねんきん定期便」(毎年誕生月に郵送)に記載されません。
たとえ、夫あるいは奥さんが、加給年金の要件を満たしていても記載されないため、ご自分で要件に合致しているか判断して、自ら手続きを進める必要があります。

具体的な手続きとしては、夫の65歳誕生日の前日以降に、最寄りの年金事務所に以下の書類を提出する必要があります。

提出書類
●老齢厚生年金・退職共済年金
加給年金額加算開始事由該当届」
(年金事務所にあります)
●戸籍謄本
●住民票
●配偶者・子の所得証明書あるいは非課税証明書

 

②繰り下げ受給しても増えません。

本来65歳から受給が始まる年金を、夫が繰り下げ受給する(遅く受給する)場合、繰り下げ受給した年から加給年金が支給されます。

また、「65歳未満の配偶者」というのが要件です。
仮に夫が、年金を70歳で繰り下げ受給した場合、その時点で奥さんが65歳未満でなければ加給年金は支給されません。
そして65歳未満の奥さんが、65歳になった時点で支給停止となります。

繰り下げ受給をすると、65歳での受給額から1か月単位で0.7%増額されますが、加給年金の支給額には反映されません。

繰り下げ受給する場合の加給年金
●繰り下げ受給した年から支給。
●厚生年金は増額しますが、加給年金の受給額は増えません。
●70歳で繰り下げ受給する場合、5歳以上の年下の奥さんでなければ支給されないイメージです。

次のようなイメージです。

●繰り上げ受給の場合は?
 本来65歳から受給が始まる年金を、夫が繰り上げ受給する(早く受給する)場合、65歳から加給年金が支給されます。

加給年金が支給される65歳の時点で、奥さんが65歳未満なら支給されます。
その後、奥さんが65歳になると支給停止となります。

繰り上げ受給すると、65歳での受給額から1か月単位で0.5%減額されますが、加給年金の支給額には反映されません。

繰り上げ受給する場合の加給年金
●65歳から支給されます。
●加給年金の受給額は変わりません。
●夫が65歳になった時点で奥さんが65歳未満なら支給され、奥さんが65歳になったら支給停止となります(通常の加給年金と同じ)

次のようなイメージです。

3 私たち夫婦をシミュレーション

①私たち夫婦

2021年2月現在の私たち家族です。
●主人(43歳、公務員、勤続19年)
●私(42歳、パート主婦)
●長女(小学6年)
●次女(小学3年)

主人がこのまま勤務を続けると、加給年金の要件に該当するため、申請すれば支給を受けることができます。

加給年金の要件
①厚生年金の加入期間が20年以上ある
20年以上、公務員で勤務
②65歳未満の配偶者がいる
夫が65歳の時、私は64歳

夫の1歳下の私が65歳になったら支給停止となるため、1年分の約39万円を受給することができます。

 

②繰り下げ受給と加給年金、どっちがお得?

私たち夫婦は、年金の受給額を少しでも増やそうと「年金の繰り下げ受給」を考えています。

年金の繰り下げ受給
●1か月遅くもらうと0.7%増額
●66歳からもらうと8.4%アップ
●70歳からもらうと42%アップ

夫が70歳から繰り下げ受給をした場合、私は69歳となるため、当然ですが加給年金はもらえません。

ですが、70歳から繰り下げ受給をした場合、65歳時で毎月15.4万円を受給できるところ、1.42倍の21.8万円を受給できる計算になります(金額は推定額です)。
毎月6.4万円(21.8-15.4)の差が出るため、もらえない加給年金分は、わずか半年で取り戻せることになります。

そのため、私たち夫婦は、加給年金の支給を受けるよりも繰り下げ受給を優先させていく予定です。

この点は、5歳以上の年が離れている夫婦などで加給年金の支給額に差が出てくるほか、65歳時点の金銭事情によって判断は異なることと思います。
あくまで、考え方の一例として参考にしてください。

「年金をいくら受給できるか」については、本ブログ「【受給額をすぐ確認できます】ねんきん定期便の見方をわかりやすく解説」をご覧いただけると嬉しいです。

【受給額をすぐ確認できます】ねんきん定期便の見方をわかりやすく解説年に1度、誕生日月に送られてくる「ねんきん定期便」で、ご自身の加入状況を確認することができます。 定期便に記載された「これまでの加入実績に応じた年金額」から自分で計算することもできますし、定期便を見ながら公的保障試算ツールに必要事項を入力すれば、簡単に受給額がわかります。...

最後にポイントをまとめます。

ポイント

●加給年金とは、厚生年金から支給される家族手当のようなイメージ。
●会社員・公務員で、65歳時に配偶者や子どもがいた場合に支給される年金
●①20年以上、会社員・公務員で勤務、②65歳未満の配偶者と高校生以下の子供がいることが要件
●要件に合致していても「ねんきん定期便」に記載されず、申請しないともらないため注意●年金を繰り下げ受給した場合、加給年金は繰り下げ受給した年から支給される

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まーこ
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