年金受け取り額を少し増やせる「付加年金」。
●自営業者など国民年金第1号被保険者のみを対象(会社員はできない)
●付加保険料を支払うことで本来の年金受給額に加算される
●付加保険料は毎月400円で、受給できる額は200円×支払った月数
●支払った付加保険料分は2年で回収でき、それ以降は丸々お得に
●2年で元が取れるお得な制度ですが、お得になる規模が小さいため、付加年金だけでは老後の生活資金の不足分をカバーするのは厳しい
●iDeCoやつみたてNISAも同時並行で進めるのがベター
こんにちわ!FPまーこ(@maakomoneydiary)です。
今回の記事のテーマは「付加年金」です。
はじめに結論をお伝えいたします。
●付加年金とは、自営業者など国民年金第1号被保険者のみを対象とし、付加保険料を支払うことで本来の年金受給額に加算される制度です。
●付加保険料は毎月400円で、受給できる額は200円×支払った月数。
●支払った付加保険料分は2年で回収でき、それ以降は丸々お得になります。
●2年で元が取れるため、ぜひとも始めるべきお得な制度ではあるものの、お得になる規模が小さいため、付加年金だけでは老後の生活資金の不足分をカバーするのは厳しいです。そのため、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAも同時並行で進めて老後の生活に備えましょう。
1 付加年金とは?
「付加年金」とは、毎月の国民年金の保険料に400円という「付加保険料」を上乗せして納めることで、65歳からの年金を受給する際に「200円×付加保険料を納めた月数」の金額が上乗せされる制度です。
「えっ、400円支払って200円もらえる?損しちゃうけど…」と思われる方もいるかも知れません(実際に私が初めて見た時はそう思いました)。
ですが、すごいお得な制度なのです!
(1)付加年金に加入できる人
付加年金に加入できる人は、次のとおりです。
●国民年金第1号被保険者(自営業者、フリーランス、農業者など)で、20歳以上60歳未満の人
●65歳以上を除く任意加入被保険者
残念ながら、国民年金第2号被保険者であるサラリーマンと公務員の方々、第2号被保険者の配偶者である第3号被保険者は付加年金に入ることができません。
自営業やフリーランスの人は、会社員や公務員と違って厚生年金に加入しておらず、将来的に国民年金を受給するのみとなります。
65歳以降に受給できる老齢基礎年金は、年間約78万円、毎月約6.5万円となります(2019年度の金額です)。
老後のご夫婦で必要な生活費は毎月約23~26万円、ゆとりある生活なら約36万円必要と言われています。
自営業の夫婦の場合、お二人で毎月約13万円(約6.5万円+約6.5万円)の受給となり、毎月10万円以上は不足してしまう計算となります。
そんな不足分を補うために、「付加年金」と「国民年金基金」という制度があるのです。
*付加年金と国民年金基金は併用することができず、どちらか一方しか利用できませんので、ご注意願います。
「国民年金基金」については、「【自営業向け】国民年金基金とは?iDeCo(個人型確定拠出年金)との違いも」をご覧いただけたら嬉しいです。

(2)いくらもらえる?
付加年金は20歳から60歳までの間で自由に加入することができます。
20歳から加入すると、最大で40年間加入できます。
具体的にいくら保険料を支払ったら、いくら受給できるのか見てみましょう。
●20歳から40年間加入した場合
付加保険料:400円×(40年×12か月)=192.000円
受給できる付加年金額:200円×(40年×12か月)=96.200円
65歳からの年金受給額に年間96.200円が上乗せされます。
この上乗せ受給はご自身がお亡くなりになるまで一生涯続きます。
96.200円×2年=192.000円であるため、2年で支払った付加保険料分を取り戻すことができ、67歳以降に毎年上乗せされる分は丸々お得になる、ということになります。
つまり、「2年で元が取れる」という非常にお得な制度なのです。
2 付加年金のメリット・デメリット
「2年で元が取れる」という非常にお得な制度の「付加年金」。
以下のメリット・デメリットを確認した上で、加入を検討してみてはいかがでしょうか?
(1)メリット
●2年で元が取れるお得感
支払った付加保険料分を2年間受給すると、それ以降は丸々お得になります。
先に述べた40年間加入した例ですと、仮に80歳まで受給した場合、96.200円×(80歳-67歳)=125万600円がお得になるという試算になります。
●保険料が全額所得控除になる
1年間で支払う保険料4.800円(400円×12か月)は、全額分が所得控除となり、課税所得を減らすことができるため、節税効果を得ることができます。
●繰り下げ受給すると、付加年金分も同時に増額
普通の年金部分である老齢基礎年金を繰り下げ受給(本来の65歳ではなく65歳以降に遅く受給すること)をすると、付加年金分も同時に増額します。
付加年金に40年間加入した人が、70歳(増額率は0.7%×12か月×5年=42%)で年金を受給した場合、
・老齢基礎年金:約78万円×1.42=約110万円
・付加年金:96.200円×1.42=136.604円
合計額は約123万6千円となります。毎月10万円ちょっとという支給額となります。
ご夫婦2人で20万円超を受給でき、70歳以降は老後に必要な生活費(23万円~)になるべく近づけることができます。
(2)デメリット
●付加保険料が400円のみで、規模が小さい。
付加保険料が400円という選択肢しかなく、増減できません。
非常にお得な制度であるため、もう少し保険料を増やしたくても400円以上、あるいは逆に400円以下にすることはできません。
付加年金に最大40年間加入すると毎年96.200円が加算されます。
長生きすると100万円以上お得になる制度なのですが、毎月の単位で見ると月8.000円ぐらいの増額となります。
加入期間が40年よりもさらに短く20年であれば年間48.100円(月4.000円ぐらい)、10年であれば年間24.050円(月2.000円ぐらい)の増額となり、やや規模が小さい感じは否めないのです。
そのため、老齢基礎年金と付加年金だけでは、老後の生活資金をカバーすることはできないと言っても良いでしょう。
●遺族年金に反映されない
付加年金に加入した人が、仮に年金を受給する前にお亡くなりになった場合、残された家族は老齢基礎年金に基づいた遺族年金額を受給できるのみで、付加年金分は加算されません。
支払った付加保険料は、掛け捨てとなってしまいます。
3 付加年金の申し込み手続き
市役所(あるいは区役所)の年金担当課に申請書を提出すればOKです。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、申請書を請求した上で郵送で申し込むこともできます。それぞれの自治体でご確認願います。
本人確認書類(運転免許証など)とご自分の基礎年金番号がわかる書類(年金手帳、ねんきん定期便など)あるいは、個人番号がわかるもの(マイナンバーカード、マイナンバー通知カード)が必要となります。
なお、付加年金は、途中で脱退することもできますし、再度加入することもできます。
ですが、脱退した期間分の保険料をさかのぼって支払うことはできませんのでご注意願います。
最後にポイントをまとめます。
●付加年金とは、自営業者など国民年金第1号被保険者のみを対象とし、付加保険料を支払うことで本来の年金受給額に加算される制度です。
●付加保険料は毎月400円で、受給できる額は200円×支払った月数。
●支払った付加保険料分は2年で回収でき、それ以降は丸々お得になります。
●2年で元が取れるため、ぜひとも始めるべきお得な制度ではあるものの、お得になる規模が小さいため、付加年金だけでは老後の生活資金の不足分をカバーするのは厳しいです。そのため、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAも同時並行で進めて老後の生活に備えましょう。
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●年金について
老後資金を考える上で、年金の仕組みを知ることはとても重要です。
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