「特別支給の老齢厚生年金」とは、年金の受給開始年齢が60歳から65歳になる際の影響を緩和する制度。
男性なら昭和36年4月1日以前、女性なら昭和41年4月1日以前に生まれた人で厚生年金に1年以上加入していれば65歳前に受給できます。
受給額は、会社に20~30年勤務していた人なら年間70~90万円は受給。
申請しないと受給できないほか、時効がある点、繰り上げ受給できないことに注意が必要。
こんにちわ!FPまーこ(@maakomoneydiary)です。
今回の記事のテーマは「特別支給の老齢厚生年金」です。
はじめに結論をお伝えいたします。
●「特別支給の老齢厚生年金」とは、年金の受給開始年齢が60歳から65歳になる際の影響を緩和する制度。
●男性なら昭和36年4月1日以前、女性なら昭和41年4月1日以前に生まれた人で厚生年金に1年以上加入していれば65歳前に受給できます。
●受給額は、収入や厚生年金の加入期間によって異なりますが、20~30年勤務していた人なら年間70~90万円受給できます。
●申請しなければ受給できないほか、時効がある点、繰り上げ受給できないことに注意が必要です。
老後の生活設計をする上で極めて重要な年金。
最低限、自分はいくら受給できるかなどを確認していきましょう。
本ブログの年金に関する記事をご参考にしてください。
●本ブログの「年金の仕組みがわかる」シリーズについて
1.「【いくらもらえる?】年金の受給額を具体的な数字でわかりやすく説明します。」
2.「【コスパ最強】年金が元を取れるか試算したら利回り〇%の貯蓄型生命保険」
3.「【受給額をすぐ確認できます】ねんきん定期便の見方をわかりやすく解説」
4.「【70歳まで定年延長?】定年後の働き方とお金で知っておきたい3つのポイント」
5.「【いくら増える?】年金の繰り下げ受給の計算や手続きなどポイントをご紹介」
6.「【自営業・フリーランス向け】年金を増やせる付加年金とは?」
7.「【自営業向け】国民年金基金とは?iDeCo(個人型確定拠出年金)との違いも」
8.「【もらい忘れ注意】55歳以上の方必見。特別支給の老齢厚生年金とは?」
1 特別支給の老齢厚生年金とは?
昭和60年(1985年)の法改正によって、老齢基礎年金の支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられました。
この改正により、いきなり次の年から65歳の受給開始にすると、損をしてしまう人が多く出てしまいます。
こうした混乱・影響を和らげるために、いきなりではなく少しずつ引き上げる措置が取られていて、現在(令和3年、2021年)は、受給開始年齢を引き上げている途中なのです。
その少しずつ引き上げる措置のためにあるのが「特別支給の老齢厚生年金」です。
ちなみに、全員が65歳受給開始に完全移行するのは、令和12年(2030年)です。
(1)受給できる要件
「特別支給の老齢厚生年金」を受給できる人には、次のような要件があります。
こうした要件であるため、基本的に会社勤めの方が対象となり、ずっと自営業やフリーランスだった方はもらえません。
昭和36年4月1日以後に生まれた男性=対象外
昭和41年4月1日以後に生まれた女性=対象外
(2)何歳から?いくらもらえるの?
「特別支給の老齢厚生年金」の受給開始年齢は、性別や生年月日によって次のように異なります。
受給開始できる年齢 | |
60歳 | 男性:1949年4月2日~1953年4月1日 女性:1954年4月2日~1958年4月1日 |
61歳 | 男性:1953年4月2日~1955年4月1日 女性:1958年4月2日~1960年4月1日 |
62歳 | 男性:1955年4月2日~1957年4月1日 女性:1960年4月2日~1962年4月1日 |
63歳 | 男性:1957年4月2日~1959年4月1日 女性:1962年4月2日~1964年4月1日 |
64歳 | 男性:1959年4月2日~1961年4月1日 女性:1964年4月2日~1966年4月1日 |
65歳に完全移行 | 男性:1961年4月2日以降 女性:1966年4月2日以降 |
「特別支給の老齢厚生年金」には、「報酬比例部分」と「定額部分」の2つがあります。
昭和60年に法改正されてからは、まず「定額部分」が引き上げられました。
すでに「定額部分」の引き上げが終わったため、これから受給する人は「報酬比例部分」だけがもらえることになります。
「報酬比例部分」については、収入や勤務年数によって異なりますが、一般的なサラリーマンが会社に20~30年勤務していた場合、年間70~90万円を受給できます。
2 注意すべき3つポイント
●申請しないともらえません
●繰り下げ受給はできません
●働いていると減額される場合も
「特別支給の老齢厚生年金」について、受給できる人やいくらもえるかというて点を確認しました。
その上で、注意しておきたいポイントを3つお伝えいたします。
●申請しないともらえない(もらい忘れに注意)
要件に該当する人が上記の需給開始年齢に達する3か月前に、日本年金機構から「年金請求書」が郵送されてきます。
この請求書を確実に返送するようにしましょう。
もし該当する人で、請求書が送られてこない場合、年金事務所に確認しましょう。
また、年金を受け取る権利が発生してから5年を経過すると、時効によって受給できなくなるため、注意が必要です。
●繰り上げ・繰り下げ受給はできません
「本来の老齢厚生年金」は、繰り下げる(65歳よりも遅く受け取る)ことで受給額を増額することはできますが、この「特別支給の老齢厚生年金」は、繰り下げ受給あるいは早く受け取る繰り上げ受給はできません。
63歳で受給開始となる人が、60歳から受け取ったり65歳から受け取ったりすることはできないということになります。
●働いていると金額が減ることもある
60歳以上65歳未満の方で厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受け取っている時、つまりは働きながら年金を受け取っている人は、その給料や年金額が一定額を超えた場合、年金額が減らされるという「在職老齢年金」という制度があります。
現行は「給与+年金」が28万円を超えると年金の支給額が減額されます。
2022年4月から、「給与+年金」が47万円を超えた場合に緩和されたので、あまり気にする必要はなくなったと言えるでしょう。
●現行 | ●2022年4月~ |
●60~64歳の人で「給与+厚生年金」が28万円超で年金の支給額が減額されます。 | ●60~64歳の人で「給与+厚生年金」が47万円超で年金の支給額が減額に。 |
在職老齢年金の詳細については、本ブログ「【70歳まで定年延長?】定年後の働き方とお金で知っておきたい3つのポイント」をご覧ください。

最後にポイントをまとめます。
●「特別支給の老齢厚生年金」とは、年金の受給開始年齢が60歳から65歳になる際の影響を緩和する制度。
●男性なら昭和36年4月1日以前、女性なら昭和41年4月1日以前に生まれた人で厚生年金に1年以上加入していれば受給できます。
●受給額は、収入や厚生年金の加入期間によって異なるが、20~30年勤務していた人なら年間70~90万円受給できます。
●申請しなければ受給できないほか、時効がある点、繰り上げ受給できないことに注意が必要です。
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